先生のSTORY

地域環境科学部
造園科学科

國井 洋一 先生

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Tokyo Nodai Story
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空間情報技術による造園空間の3次元測量と視覚化 ものを「測る」ことは、すべての基本

ドローンやレーザ機器・技術を使って造園空間を3次元測量

造園科学科は、公園や庭園、都市、自然といった人々が過ごす空間づくりに取り組む学科です。その中で、私が所属するランドスケープデザイン・情報学研究室では、「測る」ことにポイントを置いた研究を行っています。現在は、UAV(Unmanned Aerial Vehicle)、いわゆるドローンを使って空から写真を撮る写真測量やレーザ測量の機器・技術などを用いて、造園空間を早く正確に3次元測量する方法の開発に取り組んでいます。

 

造園に関わるところでは、たとえば日本庭園や街中の公園、自然公園などを空から観測します。広大な自然公園の中へ人が歩いて行くのはなかなか大変ですが、ドローンを使えば地上とは異なる上からの視点で測ることができます。また、まっすぐに飛んでそのまま反射するレーザの性質を利用したレーザ測量によって、日本庭園の中にある家屋や石灯籠などの形を詳細に把握することができます。樹木は成長したり、災害によってなくなったりすることもあるので、今ある状態、3次元の形をなるべく詳細に把握しておくことが重要です。

 

最近は、MMS(Mobile Mapping System)という測量機器を乗せた自動車を走らせて、街路樹を測る研究に力を入れています。MMSは写真測量とレーザ測量の両方を組み合わせたような機械で、地図づくりに使われている技術です。しかし、従来の使われ方では、この位置からは建物、ここからは道路、歩道というように仕切りを測ることが目的になるため、街路樹は地図上では必要のない情報として、そのデータが取り除かれてしまいます。

 

街路樹は造園学の観点からは重要ですが、一方で管理が不十分だと信号や標識を遮ってしまうこともあります。ドライバーの邪魔にならず、通行する人にとって心地良い、景観的にも良いと思われる状態にキープしておくためにはどうしたら良いだろうと考えたときに、地図作りに使われているMMSを応用し、取り除かれているデータを有意義に使うことを考えました。

 

もともと東京電機大学理工学部の建設工学科という理系一色の環境で大学院まで学び、ご縁があって東京農業大学に着任してから、樹木について考え始めました。樹木というのは1本1本すべて形が違いますし、葉のつき方も場所や環境によって変わります。それを測ることについて当初は抵抗を感じていましたが、自分がそう感じるということは、他の人も同じように感じているはずです。だからこそ、そこを研究しようと考えました。3次元測量をアニメーションのような形で視覚化し、誰が見てもわかりやすくイメージがつきやすい結果を出すことを心掛けています。

 

 

 

トライ&エラーを基本とする研究環境。学生との心の距離を縮めることを意識して

東京農業大学の魅力の一つに、思いついたことにすぐに取り組める研究環境があります。私自身の研究に対する考え方は、試してみてダメだったら次を考えるという「トライ&エラー」です。エラーを何度繰り返しても文句を言われたり、けなされたりせず、誰もが温かく見守ってくれる環境があるおかげで、思い切り研究することができます。

 

東京農業大学に着任して15年になりますが、その当時から「思いついたらやってみよう」という校風がありました。研究でも授業でも前向きな姿勢の学生がとても多く、少し失敗しただけではまったくへこたれず、すぐに再チャレンジして良い結果を出そうと努力する姿を頻繁に目にします。そのたびに、いつも私の方が学生から元気をもらい、負けていられないな、頑張ろうという気持ちにさせられます。

 

学生とは心の距離を縮めることを意識し、研究や授業において思ったことや考えていることを素直に私に伝えられるような環境を作るようにしています。研究ではゼミを通じて雑談ができるような雰囲気、授業では気軽に質問や感想を言ったり、書き込んだりできるような仕組みにして、学生が教員とコミュニケーションを取るハードルをできるだけ下げられるよう心掛けています。

 

私の研究室の入り口のドアは常にオープンで、入口に向けて設置したモニターでは研究の成果を常に流し、部屋の外からも見られるようにしています。それは、「この研究室で何に取り組んでいるのか」を広く知ってもらいたいと同時に、何かあったらすぐに相談できる環境にしておきたいからです。

 

最近、学生から「ゲームを作りたい」という要望があり、樹木や植物をゲームの中で覚え、把握できるようなロールプレイングゲームを卒論として作成しています。こういう若い人ならではのアイデアを受験生の皆さんにも発信して、東京農業大学には、誰もが自由な発想で研究に取り組める環境があるのだということを伝えたいと思います。

 

造園科学科では、人々が過ごす空間が心地良いと感じるためにはどうすれば良いかを学生たちと教員が一緒になって日々考えています。若い受験生の皆さんによる視点やアイデアは私たちにとって大変貴重です。ぜひ、みんなに愛される造園空間を一緒に作りましょう。

 

・ドローンを使った上からの視点で造園空間を早く正確に3次元測量

・柴又帝釈天の名で知られる題経寺の3次元データ

・学生がコミュニケーションを取りやすい環境を心掛け、相談しやすい雰囲気を

Profile

國井 洋一 教授

地域環境科学部 造園科学科 ランドスケープデザイン・情報学研究室

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