先生のSTORY

農学部
動物科学科

白砂 孔明 先生

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Tokyo Nodai Story
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農学と医学を連携して、社会への貢献を目指す

農学と医学を連携して、全く異なる2分野の研究に携わる 東京農大でできることを積極的に発信していきたい

ヒトの「妊娠高血圧症候群」という病気についてと、カピバラをはじめとした動物園動物について、この全く異なる2つの分野を研究しています。

 

まず一つ目の「妊娠高血圧症候群」については、東京農大に移ってくる前に教員を務めていた医学部在籍時代から、自治医科大学分子病態治療研究センターや産婦人科の先生とともに行っていた共同研究を現在も続けています。

 

この病気がどのように起きるのか?どうしたら良くなるのか?その病気の母親から産まれた子供の将来の健康や病気の発症はどうなるのか?ということについて、マウスモデルを中心に基礎研究をしています。

 

妊娠高血圧症候群の発症には、母親と子供(胎児)をつなぐ“胎盤”の機能異常が関与していると考えられていますので、マウスでも胎盤を中心として解析をしています。実は、マウスと人間は胎盤の構造が大きく異なるのです。ですから、実験動物でこのような病気を引き起こすことができたとか、はたまた治せたといっても、同じことが人間でも絶対に起こるのかというと非常に難しいところです。

 

しかし農学と医学の連携で研究をすることで、病気の発見や治療がメインとなる産婦人科の先生たちの手が届かないところ、たとえば、発症メカニズムの解明や薬が飲めない妊婦さんに対して植物やその抽出物で何か改善ができないかなどを検討することは、自分自身の興味はもちろんのこと、社会に貢献できるかもしれないという大きなやりがいに繋がっています。

 

もう一つの研究として、「カピバラは特殊な能力を持つのか?」ということを探索しています。実際に研究室でカピバラを雄雌1頭ずつ飼育しています。また、共同研究として提携している動物園からカピバラやそれ以外にも様々な動物園動物のサンプルをもらい、その細胞を培養したりしています。

 

東京農大には将来動物園の飼育員になりたい動物好きの学生が多く、卒業後は全国の動物園で活躍しています。そこで私は学生の将来に繋がる研究ができないかと考え、まずは自身が大好きなカピバラをターゲットに飼育および研究をスタートすることにしました。ちなみに、雄カピバラ(ゲンジ)は、東京農大OGが園長を務めている埼玉県こども動物自然公園さんから、雌カピバラ(トマト)は、東京農大とつながりが深い伊豆シャボテン動物公園さんからきました。東京農大の連携の広さを痛感できます。まだ研究途中段階ですが、カピバラの血液中の免疫細胞などを観察していると他の動物より強いかもしれない、つまりなかなか病気になりにくい可能性もあるのでは、と感じており、これから興味深いことが分かっていくかもしれません。

 

 

 

農大のイメージをもっと広げていきたい

私たちの研究室には学部生、院生を合わせると70名ほど学生がいます。私自身、大学時代は同じ研究室に各学年3、4名程度の学生しかいなかったので、今の研究室はとても大所帯。学生が取り組みたいテーマを一緒に練って、各自研究に臨んでいますが、学生もバラエティに富んでいて非常に面白いです。

 

私が感じる東京農大の最大の魅力は「自由度の高さ」。本気でやりたいと考えて実行しようとすると、周囲がそれを支えてくれる環境があります。学生の卒業研究では自身で考え抜いたテーマで実施できるよう、教員や先輩のサポートがあります。また、私が実際に「研究室でカピバラを飼いたい!」と無謀なことを言い出しても、主任教授が協力してくれているおかげで実現できています。

 

また、「実学主義」という言葉が示すように、教科書で知ったことだけじゃなくて外に目を向けることも重視しています。学生たちには「自分の研究テーマが本当に役に立つのか考えながらやりなさい」とは常に話しているのですが、いかに自分の興味とバランスをとるかは非常に重要ですね。

 

学生はどうしても実験の結果に「仮説通りの結果」を即座に求めてしまうのですが、自分が予想した結果は、実際にはなかなか出ないものです。そんな時に「望んだ結果が出なくて残念だったね」で終わらせるのではなく、「たとえば、こういう見方もできるよ」とか「この点は良い考察だったね」など、できるだけたくさんの言葉をかけるようにしています。一つの考えに凝り固まることなく、多様なものの見方ができればと、雑談も含めてたくさん情報を提供しながらみんなの研究をサポートしています。

 

東京農大というと「農業・動物・畜産だけ」というイメージを持たれることもありますが、東京農大は多彩で非常に特徴・特色がある大学です。私たちの研究室の「動物園動物」に関する研究も、動物園動物の保全のみを目的にしているわけではなく、動物ごとの細胞機能を明らかにすることで細胞医療系へのアプローチを行うことが目標であり、他の研究室の先生も効率的な畜産やヒトの医療応用を目指しているなど、本当にたくさんの選択肢があります。この「幅広さ」が東京農大の本当の力であり、それをもっと世の中に周知したいと考えていますし、学生たちも活動の情報発信を積極的に行ってくれています。

 

・ヒトの「妊娠高血圧症候群」は以前、在籍していた医学部時代から今も続けている研究です。

・何を考えているか分からないけど、ずっと見ていても飽きない、得も言われぬ魅力がカピバラにはあります。

・研究室の約6,7割は女子学生。雑談から相談まで積極的に会話しています。

Profile

白砂 孔明 教授

農学部 動物科学科 動物生殖学研究室

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