在学生のSTORY
生物産業学部
食香粧化学科
佐藤 柚月 さん
在学生のSTORIES
生物産業学部
食香粧化学科
私が所属している「学生コスメⓇプロジェクト」という団体では、自然豊かなオホーツク地域の生物資源を活用してコスメを開発し、商品化に取り組むことで、地域の6次産業化への貢献を目指す活動を行っています。現在までに「mawワイルドローション」や「クールバスソルト涼」などの製作・販売実績があり、今回はそれに続く商品として「mawワイルドローズハンドクリーム」のプロジェクトを立ち上げました。商品名のmaw(マウ)とはアイヌ語で植物のハマナスを意味し、北海道の道花にも指定されています。原材料であるハマナスの果実エキスは美肌効果があり、それに北海道産のシラカンバ樹液をプラスすることで、しっとりしながらも、ベタつかない使用感のハンドクリームを目指しました。
・試行錯誤を繰り返し、理想のテクスチャーをみんなで追求した。
この企画の原点には、大学で学んだ知識を活かして、日ごろからお世話になっている地元に恩返しをしたい、という私たちの思いがありました。網走市は第一次産業が盛んであり、手を使って作業をされる方がたくさんいらっしゃいます。加えてコロナ下の消毒で手が荒れやすくなったことも加味してハンドクリームの企画が決まり、原材料費や活動費をクラウドファンディングで広く募る計画を立てました。
プロジェクトが始動した2020年4月ごろは、日本中にコロナ禍が広がったタイミングでした。そのためメンバーとはオンライン形式で会議を重ねたのですが、互いの意思疎通や細かなニュアンスを伝えるのが難しく、コミュニケーションを図るのが本当に大変でした。そうしたなか、頑張るモチベーションになったのは、自分たちの力でこの製品を完成させたい! という強い気持ちだったと思います。
・「学生コスメⓇプロジェクト」のメンバーの皆さん。
その後は感染対策をしながら行動を開始。まず製品については、道内の化粧品会社様のご協力を得て、ハンドクリームの成分内容を自分たちで決めました。クラウドファンディングでは出品する際にポスターが必要になり、作成したポスターが薬事法に違反していないかどうかを精査するため、北海道道庁の薬務課へ出向いて確認もしていただきました。完成したポスターを網走市役所や道の駅に掲示していただくため、関係各所へもお願いに行くなど、行動あるのみ! という感じでしたね。広報担当の私はSNSでの情報発信にも力を入れ、結果的には目標金額の100万円を5日間で達成し、多くの方に製品を届けることができ、プロジェクトは大成功で終えることができました。
・オホーツク地域の植物資源を原材料に作られた「mawワイルドローズハンドクリーム」
「学生コスメⓇプロジェクト」チームの印象をひと言で表すと、とても柔らかな雰囲気です! メンバーそれぞれに役割はありますが、仕事が誰かに偏り過ぎないよう、みんなで手伝ったり、わからないことがあれば、率直に話し合って解決策を見つけます。事務作業のときはいつも和気あいあいとお喋りを楽しんでいるので、今回のプロジェクトも私たちらしく、のびのびと頑張ることができたものと思います。
中学生のころから化粧品に興味があり、製品作りを一から学べる大学を探していた時に、食香粧(しょっこうしょう)化学科の存在を知りました。もともと農大にはとても惹かれていて、特にこの食香粧化学科は、食・香り・化粧品の開発から加工までを網羅的に学ぶことができるため、そのような大学は全国でここしかなかったので、学科のあるオホーツクキャンパスで学びたいと思いました。
農大に通って良かったのは、やはり「学生コスメⓇプロジェクト」に参加できたことです。化粧品の製造過程が学べたり、化粧品会社の代表の方から直接お話しを聞く機会もあり、本当に貴重な経験をさせていただきました。企画立案から製造・販売まで、学生がメインになって活動できるところは他にはないと思っています。実社会で新しいことに挑戦できたこのプロジェクトで、製品作りはいろいろな人の協力があって成功するものであり、人とのつながりが大切なことを、身をもって実感することができました。
キャンパスがある網走市で一人暮らしを始めて3年が経とうとしています。この間、学校の課題に加え、家事やアルバイトなど、やることが増えましたが、この3つをしっかりできるようになったので、自分自身で逞しく成長したなと思っています。アルバイトでは、ホタテ貝をカゴから出す「ホタテバイト」や、じゃがいもや長ねぎ、玉ねぎの収穫や種植えなどの「農家バイト」も経験し、体力もアップしました。新鮮なホタテ貝や野菜は本当においしいですよ! これからもオホーツクでの暮らしを楽しみながら、体に良い化粧品を開発するという目標に向かって、一歩ずつ頑張っていきます。
・柔らかな雰囲気のチームだからこそ、のびのびとチャレンジできた。