卒業生のSTORY

東京農業大学 卒業生
国土交通省
住宅局 参事官(建築企画担当)付

松永 佳子さん

卒業生のSTORIES

東京農業大学 卒業生
国土交通省
住宅局 参事官(建築企画担当)付

松永 佳子さん

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Tokyo University Of Agriculture
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現地で得られるデータを重んじ、全国を踏査して分析

日本全国に存在するあらゆる昇降機の技術基準に関わる

国土交通省の建築関係の部署で、エレベーターやエスカレーターといった「昇降機」の技術基準に関する業務に携わっています。具体的には、昇降機の構造や規制の見直しを行い、必要に応じて法令の改正を実施。また、安全に設置・管理されているかを確認するため、地方公共団体の方々に調査を依頼し、全国のエレベーター約78万台の安全装置の設置状況をとりまとめて公表する業務なども担っています。

 

さらに、補助制度や昇降機の安全対策の普及について検討するほか、昇降機の大臣認定審査も担当しています。私が審査しなければ新性能の昇降機を設置できない立場にあるため、責任感を持ちながら仕事に取り組んでいます。

 

国土交通省の仕事は、ひと言でいえば「人々の生活の安全を守ること」です。そのために、他省庁や地方公共団体、メーカー、管理業者、性能評価機関など、多くの関係者と連携しながら業務を進めています。業界や企業との関わりも深く、技術的な知識はもちろんコミュニケーション能力も求められる仕事です。ミクロなスケールの仕事が日常的に利用する昇降機の安全につながっているという実感が、この仕事のやりがいになっています。

 

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身を削る調査の積み重ねが造園学を深める糧になった

私が東京農大の地域環境科学部・造園科学科に進学したのは、日本庭園に興味を持っていたからでした。しかし大学で学ぶうちに、安全で美しい造園空間に欠かせない植物の生態や土壌環境へと関心が移り、造園学専攻で修士・博士課程へと進んで研究に取り組みました。

 

在学中は「研究対象の土地の環境、風土、植生を体で感じなければならない」という先生の教えのもと、講義だけでなく現地調査や野外実験、室内実験など、幅広い角度から実践的に学びを深めました。自身の研究では、土壌条件がシイノキという樹木の生存に与える影響を調べるために全国のシイノキの巨木を踏査しました。自分の研究以外にも研究室で行う調査にも積極的に参加し、特に雨の中、高低差1,000mを折りたたみ自転車で駆け登り天空の焼畑の現場をみて、計150kmを走るという体験をした調査は今でも鮮明です。苦労して行った調査ほどはっきりと記憶に残っており、理論と現場のつながりを知った当時の経験が現在でも自分の土台になっていると感じています。

 

また、「研究にはドラマとロマンがある」という先生の言葉も印象的でした。一つひとつの植物に歴史があり、その背景にある物語を想像しながら研究に取り組むことが大切だという教えです。この言葉は私にとって、研究を作業からストーリーを追う魅力的な行為に転換させ、楽しく向き合う上での大きなモチベーションになってくれました。当時は辛いと感じていた調査も、今になって振り返るとかけがえのない思い出であり、学びの本質を教えていただいた貴重な時間だったと感じています。

 

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業務を通じて地域への理解を深めた先に、「造園」の重要性を発信したい

造園学を学ぶ中で造園空間の重要性を実感するとともに、地域への関心も高まっていきました。様々なスケールで地域に関わる仕事をしたいと考えたことが、国土交通省の「住宅・建築・まちづくり」採用区分を志望したきっかけです。
 

東京農大で造園学を学んでいた私が、現在は昇降機に関わる仕事をしているというギャップを意外に感じる方もいるかもしれません。造園学は地域社会全体における自然と人間の共存を探究する分野ですが、昇降機は「建物」という地域を構成する最小単位において人々の生活を支える設備です。スケールは異なりますが、どちらも人々が快適かつ安全に過ごせるための環境づくりという点では共通しています。その点、造園学の研究と実践を通じて培った思考のプロセスは、現在の業務において確かな土壌となっています。

 

今後は、これまで出会ってきた尊敬する方々のように、業務における専門性とオリジナル性を磨き続けていきたいと考えています。造園という専門分野から昇降機という新たな領域への転換には戸惑いもありましたが、学生時代のように目の前の仕事に真摯に向き合いながら、国土交通省の理念や業務について実務を通じて学び、まちづくりや地域への理解を深めていきたいと思っています。

 

将来的には、そこで得た知識や経験を活かし、「造園」という存在が人間にとって欠かせないものであるという認識を社会に広めることを目指しています。分野を越えて得た視点を強みに、造園の価値を再定義し、より多くの人にその重要性を伝えていけるよう成長していきたいです。

 

東京農大で学ぶ学生には、自分の専門性を見定め、ひとつのことに全力で取り組んでほしいと願っています。熱意を持って専門分野と向き合うからこそ、自分の軸を構築することができ、未来の選択肢が広がると思います。まちづくりをはじめ、農学的な視点から多様な分野にアプローチしていただけるとうれしいです。

 

Profile

松永 佳子

国土交通省
住宅局 参事官(建築企画担当)付
2020年3月 地域環境科学部 造園科学科 卒業
2022年3月 大学院 農学研究科 造園学専攻 博士前期課程修了
2025年3月 大学院 地域環境科学研究科 造園学専攻 博士後期課程修了
三重県 私立 暁高等学校卒業

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