「すべての人を健康へと導く、“骨と栄養素”のメカニズム」を解明

勝間田 真一 先生

応用生物科学部 栄養科学科

勝間田 真一 先生

応用生物科学部 栄養科学科

「すべての人を健康へと導く、“骨と栄養素”のメカニズム」を解明

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健康寿命を延ばしてQOLを保つために、 骨と栄養素の関係性を探求する

ミネラル摂取量の違いが骨の健康にどう関わるのかを検討

日本は現在、超高齢社会を迎え、高齢者の生活の質(QOL)の向上は急務となっています。そして骨粗鬆症はQOLに影響を与えるため、骨の健康を維持することは、QOLの向上にとても重要であるといえます。また、カルシウム摂取が骨の健康に良い影響を与えることは広く知られていますが、その一方で、その他のミネラルがどのように骨の健康と関連しているのか? という科学的知見は少ないのが現状です。そこで私は【“骨と栄養素”のメカニズムを解明する】というテーマの下、ミネラル摂取量の違いが、骨の健康にどのように関わるのかを検討する研究をスタートさせました。

 

 

 

超高齢化の今、骨と人の健康寿命を延伸させることが重要

日本における骨粗鬆症の患者数は、現在1300万人以上と推定されています。骨粗鬆症とは骨が折れている訳ではなく、骨の強度が低下して骨折しやすい状態になっている、という定義であり、そこへ転倒などの刺激が加わると骨折し、高齢者の場合はQOLが一段下がるといわれています。こうした骨が弱い状態、あるいはもろくなった状態が骨粗鬆症であり、日本の高齢化を鑑みれば、患者数はさらに増えていってもおかしくない状況といえるでしょう。世界に目を向けても、先進諸国は高齢化率が非常に高くなっています。また先進諸国以外でも、経済が安定しているアフリカ諸国の都市部などでは、肥満や生活習慣病の対策をどうするべきかという課題があり、SDGsの「すべての人に健康と福祉を」という目標は、まさにグローバルな課題といえます。

 

人の寿命が延びた場合は健康寿命が特に重要であり、骨粗鬆症などの生活習慣病については、幼少期、さらには妊娠期からの対策が必要だと思います。そのためには、骨の健康に関する科学的知見の蓄積、栄養素摂取の過不足と骨の健康との関連やそのメカニズムの解明が必要であると考えています。

 

私の研究では、骨の健康に良いとされるカルシウムやビタミンDだけでなく、今まで骨との関わりがあまり注目されてこなかった栄養素を見つけ、骨との関連を明らかにしたいと考えており、特にミネラルにフォーカスしています。ちなみにミネラルとは、リン、カルシウム、鉄、亜鉛などの総称であり、研究ではこうした栄養素の過剰摂取、あるいは欠乏が、骨にどのような影響を及ぼすか、という点を見ていきます。

 

実際の研究では動物実験をしており、ラットやマウスに対して、特定の物質を与えたり、減らすなどするために、研究室で設計した栄養素量になるよう餌を作り、それを一定期間与えて、動物から各種のサンプルを採取して測定をします。この手法によって、ミネラルの過不足が骨にどのような変化をもたらすか、そのメカニズムの解明を目指しています。

 

私のこうした取り組みは骨の健康に関わる「基礎研究」になると考えています。そのため研究によって得たエビデンスは、骨の健康に対する知識の普及や啓蒙、意識の変化などに間接的に寄与できるものであり、それがSDGsの「すべての人に健康と福祉を」という課題への貢献につながると考えています。また私が講義を担当している応用生物科学部栄養科学科は管理栄養士を養成しており、資格を取得した学生たちが農大で学んだことを社会に向けて広く発信してくれたなら、間接的に人の健康を支えていることになり、これもSDGsへの貢献のひとつだと思っています。

 

 

科学的知見の蓄積が骨粗鬆症の予防や治療につながる

農大の学部生時代、リンの過剰摂取による骨への影響について興味をもったことが、今の研究につながっている

骨は他臓器との関わりが深く、栄養素も相互関係があるため、骨と栄養素の解明は一筋縄では行かないが、世界の健康長寿のために尽力したい

Profile

勝間田 真一 准教授

応用生物科学部 栄養科学科 栄養生理化学研究室

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